夏目漱石『こころ』の「覚悟ならないこともない」は、定期テスト・入試で頻出の設問ポイントです。 ただし「覚悟=自殺」と断定すると減点になりやすく、逆に「恋を諦めるだけ」に固定すると作品全体(Kの死・先生の告白構造)と噛み合いません。 本記事では、叙述(卒然/独り言/夢の中)を根拠に、答案で点が取れる形に整理します。
この記事でわかること
- Kの「覚悟」は何の覚悟か
- 「卒然」「独り言のよう」「夢の中の言葉のよう」が示す読みの根拠
- なぜ先生(語り手)は翌日に解釈を変えたのか
- テストでそのまま使える答案テンプレ
- よくある誤答パターンと安全な書き方
問題の本文(一次情報)
授業・テストで問われやすいのが、Kのこの一言です。
「すると彼は卒然『覚悟?』と聞きました。そうして私がまだなんとも答えない先に 『覚悟、――覚悟ならないこともない。』と付け加えました。彼の調子は独り言のようでした。 また夢の中の言葉のようでした。」
出典:青空文庫『こころ』本文
※本文確認(一次情報):青空文庫『こころ』 本文ページ
結論:Kの「覚悟」は“一つに固定しない”のが正解
結論(30秒要約)
- 会話の表層では、先生の問いに沿って「恋(お嬢さん)を諦める覚悟」として聞こえる。
- しかし叙述が「独り言」「夢の中」と不穏に描くため、“常識的な諦め”だけでは収まりにくい。
- 作品全体(Kの死・先生の罪の告白)を踏まえると、Kの内側では人生を切断するほどの重大な決断(死の含意を含む可能性)まで視野に入る読みが成立する。
得点につながる書き方は、「断定」ではなく「叙述を根拠に示唆として述べる」こと。 つまり二重構造(会話上の意味/内面の意味)として説明できると強いです。
場面整理:『覚悟』が出るのは“会話の齟齬”が生まれる瞬間
この場面は、先生とKが「お嬢さん」をめぐって向き合う危険な会話です。 先生はKに「心でそれをやめるだけの覚悟」を迫る形で、話を恋をやめさせる方向へ動かします。 だから読者はまず、Kの「覚悟」を恋の断念として受け取りやすい。
ここがテストの狙い(採点者が見たいこと)
- 先生の問いは「やめる覚悟」を要求している(問いの方向)
- Kの返答は「独り言/夢の中」と描かれ、会話の応答としてズレている(叙述のサイン)
- 同じ「覚悟」という語でも、先生の意味とKの意味が噛み合っていない
叙述が最重要:卒然・独り言・夢の中(答案の根拠)
上位答案は、感想ではなく叙述(本文の描写)を根拠に組み立てます。 ここは表で一気に押さえるのが最短です。
| 叙述 | 読みのポイント | 「覚悟」解釈への影響(答案の言い換え) |
|---|---|---|
| 卒然 | 会話の流れが急に切り替わる/反射ではない | 内面で結論が固まる気配(「重大な決断が瞬時に定まる」) |
| 独り言のよう | 相手に説明する語りではなく、自分に言い聞かせる調子 | 先生への返答というより、自分の結論の確認(「自己暗示的な決意」) |
| 夢の中の言葉のよう | 現実感の希薄さ/異様な静けさ | 常識的範囲を外れた重さ・断絶(「現実から離れた決意」) |
差がつく書き方(叙述に忠実に)
「Kの心理が突然変わった」と断定するより、「先生(語り手)にはそう聞こえた/そう感じられた」と書くと、 語りのフィルター(叙述)を踏まえた答案になります。
先生はなぜ誤読したのか:翌日に解釈を変えた“心の仕組み”
ここが得点の分岐点です。「覚悟」の意味を問う設問は、Kの心理だけでなく、 先生の誤読(自分に都合のよい解釈)が悲劇を加速させる構造を答えさせることが多い。
心情変化を一文で
先生は恋の成就という自分に都合のよい未来を先に思い描いたため、Kの「覚悟」を願望に沿って誤読した。 翌日、Kが「一度言ったことを守る」強い性格だと思い出し、昨日の言葉の重さに気づきかけた。
つまりこの場面は、Kの決意の問題であると同時に、先生の読み違い(都合のよさ)が作品全体の罪悪感へつながる “伏線”でもあります。
「覚悟=自殺」は確定?断定しない方が強い理由
結論として、テスト答案で最も安全で強いのは「確定」ではなく「示唆」です。 「覚悟=自殺」と断定すると、本文の時点で明示されていないため、根拠薄と取られるリスクがあります。
答案で強い言い方(型)
「会話上は恋をやめる覚悟に聞こえるが、叙述の不穏さ(独り言/夢の中)と結末から、 Kの内側では死を含む重大な決断が示唆される」
これなら、叙述(根拠)→示唆(結論)の形になり、採点者にとって「読みの筋」が明確です。
答案に直結:Kの「覚悟」三層モデル(表層/中層/深層)
| レイヤー | 「覚悟」の意味 | 根拠(本文) | 答案での言い換え例 |
|---|---|---|---|
| 会話(表層) | 恋をやめる/抑える覚悟 | 先生の問いが「やめる覚悟」を迫る | 「恋を断つ決意」 |
| 叙述(中層) | 内面で結論が固まる覚悟 | 独り言/夢の中のような調子 | 「重大な決断を固める」 |
| 結末(深層) | 死を含意する可能性 | Kの死/告白構造(後から見えてくる重さ) | 「死に至る決意を含む可能性」 |
テストで使える答案テンプレ(40字/80字/120字)
40字(短答)
Kの「覚悟」は、先生に迫られた恋を断つ決意である。
80字(標準:叙述込み)
表層では恋をやめる覚悟だが、独り言・夢の中のような叙述から、Kが内面で重大な決断を固めた不穏さが示唆される。
120字(高得点:誤読も入れる)
先生の問いに沿えば恋を断つ覚悟だが、卒然・独り言・夢の中のような叙述が、Kが自分に言い聞かせる形で結論を固めた重さを示す。先生は恋に目がくらみ誤読し、結末から死の含意も読み取れる。
よくある誤答と減点回避(上位答案のコツ)
誤答パターン
- 断定しすぎ:「覚悟=自殺だ」と言い切る(本文根拠が薄い)
- 浅く固定:「恋を諦めるだけ」として結末と断絶する
- 根拠不足:「不穏だから」だけで叙述語(卒然/独り言/夢)を使わない
減点回避の型
- 叙述語を必ず入れる(卒然/独り言/夢)
- 「確定」ではなく「示唆」「含意」「可能性」を使う
- 先生の誤読(願望)を一文入れると上位に跳ねる
FAQ(よくある質問)
Q. Kの「覚悟」は自殺の覚悟ですか?
本文の時点で自殺が明示されるわけではないため、答案では「確定」より 叙述の不穏さと結末から、死を含む決断が示唆されると述べるのが安全で強いです。
Q. なぜ先生はKの言葉を“都合よく”解釈したのですか?
先生は「お嬢さん」との恋の成就という未来を先に思い描き、Kの返答を 自分の願望に沿って誤読したためです。翌日Kの性格を思い出し、言葉の重さに気づきかけます。
Q. 記述問題で一番点になる書き方は?
「叙述(卒然/独り言/夢)→示唆(重大な決断)→結末(死の含意の可能性)」の順で根拠を並べると、 読みの筋が明確になり高得点を狙えます。
引用・参考(一次情報と版情報)
※引用は必要最小限にし、出典を明記してください。
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まとめ:Kの「覚悟」は“言葉”ではなく“ズレ”を読む
- 表層:会話上は「恋をやめる覚悟」
- 中層:叙述(独り言/夢の中)が「内面の決断」を示す
- 深層:結末から「死の含意」を示唆として読める
- 上位答案:先生の誤読(願望)まで書く
次の行動(おすすめ)
- 青空文庫で該当箇所(卒然/独り言/夢の中)を再確認
- 答案は「叙述→示唆→結末」の順で根拠を並べる
- 通読するなら紙 or Kindleで手元に(付箋・線引きが強い)


