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白夜行が“気持ち悪い”と言われる本当の理由|読者が抱く不快感の正体を徹底解説

ドラマ化された小説

東野圭吾の小説『白夜行』(集英社文庫)を読み終えた読者の中には、作品に強烈な不快感を覚えたという声が少なくありません。中でも、雪穂がサイコパスのように描かれている点や、登場人物たちのひどい行動の数々に心がざわついたという意見が目立ちます。

物語のあらすじを追うだけでは捉えきれない複雑な心理描写や、なぜここまで読者を動揺させるのかといった問いが浮かび上がることも多いでしょう。

さらに、亮司がかわいそうと感じる一方で、巻き込まれる登場人物たちへの共感も拭えません。そして最後一文に込められた意味が、読後の印象をさらに深いものにしています。

この記事では、白夜行 気持ち悪いというキーワードで作品に疑問を抱いた方に向けて、登場人物や構成、評価の背景を丁寧にひも解いていきます。

❕本ページはPRが含まれております

この記事を読むことで理解できること
  • 白夜行が気持ち悪いと感じる主な理由
  • 雪穂と亮司の人物像に対する多角的な見方
  • 読後感の不快さと物語構成の関係性
  • 最後の一文が示す読者への問いかけ

白夜行が「気持ち悪い」と言われる5つの理由


引用:Amazon

1. 主人公ふたりに感情移入できない異質さ

多くの読者がまず戸惑うのは、雪穂と亮司にまったく感情移入できないという点です。

ふたりは幼少期こそ「被害者」として描かれるものの、大人になるにつれて

  • 他人を平然と利用する
  • 自分たちの目的のために人を不幸に突き落とす
  • 罪悪感や葛藤がほとんど表に出てこない

といった行動を積み重ねていきます。

普通の物語なら、「かわいそう」「報われてほしい」と思える瞬間があるのに、

白夜行では読者がそう感じる前に、さらにひどい出来事が“加害者側”として上書きされてしまう

「かわいそうだけど、許せない」

この相反する感情が同時に積もっていくことで、強烈な“気持ち悪さ”が残ります。


2. 被害者だけが徹底的に傷つき、救われないから

白夜行の世界では、もっとも苦しむのは いつも“巻き込まれた側”の人間 です。

  • レイプ未遂・レイプの被害に遭う女性たち
  • 利用されて捨てられる恋人やパートナー
  • 事件に巻き込まれて人生が狂っていく周囲の人々

彼らの多くは、何も悪いことをしていないにもかかわらず、心や人生に致命的な傷を負います。

それなのに、彼らがスカッと報われる場面はほとんど用意されていません。

読者は、物語のどこかで「せめて誰か一人くらいは救ってほしい」と無意識に期待しますが、

白夜行はその期待を最後まで裏切り続けるため、**「胸糞悪い」「読んでいてしんどい」**という感想につながります。


3. 心理描写がほとんどなく、「わからない不気味さ」が残るから

白夜行の大きな特徴として、雪穂と亮司の内面がほとんど語られないという点があります。

彼らの視点で語られる場面はほぼなく、読者は

  • 断片的な証拠
  • 周囲の人間の証言
  • 行動の結果だけ

を手がかりに、ふたりの心情や関係性を推測するしかありません。

通常の小説では、登場人物の内面が丁寧に描かれることで

「こう考えたから、こう動いたんだ」と納得できます。

ところが白夜行では、その“納得のための材料”が意図的に省かれているため、

何を考えているのかわからない

なぜそこまでできるのか理解できない

という “理解不能な人間”に対する根源的な恐怖や不気味さ が読者に残ります。

これが「怖い」「ゾワッとする」「気持ち悪い」という感情に直結します。


4. 正義が機能せず、「悪」が裁かれない世界観だから

白夜行には、読者の期待する意味での「正義」がほとんど登場しません。

  • 犯人は最後まで明確には裁かれない
  • 法の網をすり抜ける形で、事件が処理されていく
  • 警察や大人たちも、決定的な一手を打てない

多くの物語では、最後に

  • 真相が暴かれる
  • 犯人が逮捕・罰を受ける
  • 被害者側にささやかな救いが訪れる

といった「カタルシス(浄化)」が用意されています。

しかし白夜行には、そのカタルシスがほぼない。

その結果、読者の中には

ここまで人を不幸にしておいて、これで終わり?

あのふたりは、結局どこまでも“白夜”の中を歩き続けるのか

というやり切れなさだけが残り、

「正義不在のまま終わる物語」という構造そのものが不快感を増幅させています。

5. ラスト一文と「白夜」というタイトルが、不快感を固定化するから

物語のラストに登場する一文は、作品全体の印象を決定づけるほどの重みを持っています。

「白夜の中を歩いているようだ」という表現には

  • 太陽の昇らない世界
  • 永遠に続く薄明かり
  • 光も闇もない、救われない人生

といったイメージが込められています。

普通の物語であれば、ラストに向かって少しでも光が差すような描写が入りますが、

白夜行ではむしろ、「この先もずっと終わらない」と示されるかのような感覚を与えます。

読者は本を閉じた後も、

雪穂と亮司がどこかで “白夜の中を歩き続けている” かのような後味の悪さを抱えたまま現実に戻される。

この 「読後感の悪さをあえて残すラスト」 が、

白夜行を「気持ち悪い」「不快だけど忘れられない」作品として記憶させる大きな理由になっています。

なぜ白夜行が気持ち悪いと感じるのかを考察


引用:Amazon

雪穂 サイコパスという見方の是非

雪穂の行動や心理描写には、サイコパスという言葉がたびたび重ねられます。感情の起伏が表に出ず、表面上は完璧で魅力的な女性として描かれていますが、その裏には冷酷さや操作性が垣間見えます。

彼女が目的のために人を利用し、時には不幸に陥れる様子からは、人間味のなさや異質性を感じ取る読者も多いでしょう。特に、感情を動かすべき場面で一切揺るがない描写が続くことで、読者は彼女の本心が見えず、不気味さを募らせます。

一方で、彼女の過去に起きた悲劇的な出来事が行動の原点となっていることも無視できません。サイコパスと断定するのではなく、彼女の背景を踏まえたうえで、読者が抱く不快感の正体を探ることが大切です。

重厚なあらすじから見える闇の構造

白夜行のあらすじは1973年から1992年にわたる19年間という長い時間軸を舞台に展開されます。物語はある殺人事件から始まり、被害者と加害者の子どもである亮司と雪穂が、まるで交わらないかのように別々の道を進んでいきます。

しかし、読み進めるうちに2人の背後には常に不可解な事件や不自然な死があり、それが点として浮かび上がっていくのです。直接的な接点が描かれないにもかかわらず、2人が共犯である可能性がほのめかされ、読者は想像力を掻き立てられながら物語にのめり込んでいきます。

この構造は極めて巧妙である一方で、読者によっては「気持ち悪い」と感じさせる要因となっています。目に見えない関係性が暗示され続けることで、得体の知れない不穏さが物語を包み込んでいくのです。

亮司 かわいそうという声がある理由

亮司に対してかわいそうという印象を持つ読者も少なくありません。彼の行動の原点には、父親の暴力や家庭環境による心の傷があり、それが彼の人生の選択に大きく影響しています。

また、物語を通じて亮司が雪穂のために行動していると思わせる描写が随所に存在します。犯罪に手を染めながらも、自分の存在を裏から支える役割に徹する姿勢には、哀しみや献身といった感情を重ねることができます。

ただし、同時に彼の行動は多くの人々を不幸にしており、その矛盾が読者に複雑な感情を抱かせます。彼の悲劇性が際立つほど、彼がかわいそうであるという認識もまた、強まっていくのです。

犠牲になった人々が浮かび上がる構図

白夜行では、主人公たちの行動によって数多くの人々が犠牲となります。直接的な被害だけでなく、精神的なダメージや人生の転落といった形で苦しむ人々が描かれています。

特に、江利子や典子、今枝、美佳といった人物たちは、それぞれの形で傷つき、読者の記憶に残る存在となっています。彼らは物語の中心にはいないものの、犠牲者として物語の深層を形づくっているのです。

この構図を通じて、作品が問いかけているのは「加害者の物語ではなく、巻き込まれた人々の苦しみ」ではないかという視点です。

心理描写の不在が生む不穏な余白

白夜行では、主人公である亮司と雪穂の心理描写が意図的に省略されています。2人の視点から語られる場面はほとんどなく、読者は常に外側から彼らの行動を観察することになります。

この手法によって、読者は彼らの真意を読み解こうとする一方で、断片的な情報から想像するしかないというもどかしさを抱えることになります。この「わからなさ」こそが、物語全体に不穏な余白をもたらしているのです。

心の奥にある動機が明かされないまま物語が進行していくことで、登場人物に対する理解が深まるどころか、距離感が増していく構造になっています。

闇を生き抜く2人の関係性の謎

亮司と雪穂の関係性は、物語を通して曖昧なまま保たれています。2人が会話を交わす描写すらなく、読者は彼らの接点を間接的な状況証拠から推測するしかありません。

その中で登場するアイテムや状況の一致が、彼らが確実に繋がっていることを示唆します。しかし、その関係がどのような感情に基づくものか、あるいは利害のみで結ばれているのかは明言されません。

この曖昧さが、2人の絆を神秘的で不気味なものに変え、読者に強烈な印象を残すのです。

白夜行をより楽しむための作品

原作「白夜行」

DVD「白夜行」

「白夜行」配信

サービス サブスク料金 状況

Amazonプライム・ビデオ

レンタル 330円
購入   1,650円
>公式サイト

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TSUTAYA DISCAS

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DVDレンタル

配信は見放題と個別課金で扱いが異なります。見放題に含まれる時期は限定される場合があるため、作品名で検索したうえで、プランの注意事項や視聴期限を確認しておくと安心です。

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白夜行が気持ち悪いの真意まとめ

  • 雪穂が感情を見せないことで不気味さが際立つ
  • 亮司は常に裏で行動し姿を見せない
  • 事件の被害者に対する描写が痛々しい
  • 誰も救われない構成が読後の虚無感を生む
  • 心理描写がないことで理解不能な人物像になる
  • 光のない人生を象徴する最後の一文が印象的
  • 主人公に感情移入できない構造が独特
  • 推測だけで物語を追うストレスがある
  • 正義が不在のまま物語が完結する構成
  • ドラマ版とは異なり心理面が描かれない
  • 被害者の視点で見ると怒りが込み上げる
  • 曖昧な関係性が続くことで不安が増す
  • 社会性を持たない犯罪が繰り返される
  • 冷酷な計算と沈黙が不快感を助長する
  • 読後に多くの問いを残す作品構造である